平穏揺らぐ

お酒を飲んで憂さを晴らす人もいれば
歌を歌ってストレス発散する人もいる

私の場合は、人にしゃべったり
日記に書くなど文章にすることで気持ちを軽くしてきた

しかし今度ばかりはちがう
人に話すと悪いものが拡散しそうな気がした
その言葉を記すことで、周りのもっと悪い物がとりつきそうな気さえして
書けなかった
書くには重すぎた

あれから20日あまり
とても長い時が過ぎたように感じるが、まだ同じ月の出来事なのか

4月8日
夫がガンの診断を受けた・・・・血管肉腫
症例数が少なく、治療法の選択も医療機関によってまちまちという難しいものだ

厳しい事実が頭の中に浸透してくるにつれて
明日にでも夫が消えてしまいそうで
何を見ても何をしていても胸がつまる

じっとしていると苦しくて、やたら働く私に
夫が「大丈夫?」と聞いてくれる
一番つらいのは彼なのに
そんなに優しくしないでよ、と
こらえている涙があふれでた

一瞬たりとも緊張が緩まない
浅い眠りの間だけが現実を忘れさせてくれるが
目覚めた瞬間に胸がいっぱいになる
時折深呼吸しないと息苦しくなる

そんなどうしようもなくつらい状態も
入院し治療が始まり少し落ち着いた

娘の存在が心強い。去年東京での仕事を辞めて帰って来ていてくれてよかった
仕事の合間を縫って名古屋から帰ってきてくれた息子の顔を見たら肩の力が抜けた
りくを抱いていると気持ちが和らぐ

不安はぬぐいきれはしないが
お腹もすくようになった
薬の力を借りなくても眠りにつけるようにもなった

なによりも
夫が落ち着いている
少しもうろたえることなく
明るく過ごしている

夫は元気で生きているのだ

私がへこたれていてどうする!


沈みがちな心を、これからは文章に記すことで奮起させていこうと思う

治療が功を奏し、心から笑えるその日を待ちながら。
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一時帰宅

洗濯物を干していたら、どこからかとても可愛い鳥のさえずりが聞こえてきた
気持ちのいい朝
太陽のエネルギーを吸収しようと深呼吸する

夜になると頭をもたげる不安な気持ちも
陽の光がやわらげてくれる

花みずき、ライラック、マンサク、そしてつつじ・・・
次々と咲く花がなごませてくれる

いい季節だ

連休中は放射線治療もお休みなので外泊許可が出て
昨日夫が帰って来た
4泊5日のシャバ生活
狭い病室から解放されてうれしそうだ

どこよりも夫のひざが好きなリクが早速すがりついている
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主の帰りを待つかのように咲いたすずらんを挿して迎えたけれど
ビールの方がうれしかったようだ
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告知の時

あとから考えると、病名は驚くほどあっさりと告げられた

病名だけではわからないと思われたか「ガンです」と念を押された
本人の目の前で、あんまり簡単に言われたものだから
そんなに重大なものではないと錯覚してしまうほどだった

「治療法は、手術、放射線、抗がん剤の3つ
症例数が少ないので医療機関によって選択がまちまちで確固たる治療法が決まっていない
この場所と範囲から考えると放射線と抗がん剤で行くのがいいかと思う」

とても厳しく、とても重大な話がサラリと語られる
とても厳しく、とても重大な話なのに少しも頭の中に浸透してこない

聞きたいことはいっぱいあるのはずなのに、何を聞けばいいのか分からない

ただのおできだろうと思っていた
周りにガンになった友人知人が何人いても、ガンは他人ごとだった

1型糖尿病にかかって以来、様々な葛藤はあったものの
日々の精進が功を奏してか、風邪もひきにくくなったし
一病息災だね、と話していた
年間発症率が10万人に1.5人という病気になったんだから
もう他の大きな病気に罹るなんてことはないだろうと思っていた

なんて傲慢だったんだろう

今度も10万人にひとり程度の希少なガンらしい
今かかっている病院でも年間にひとりあるかないだという

この確立の病気にふたつもかかるなんて世界中でも珍しいんじゃない?
宝くじにはかすりもしないのに
車も当てられたしねえ

笑えない冗談で笑いあう

よーし!こうなったら
希少な病気ふたつとも克服した、もっと珍しい人になってやろうよ

春の日差しも花の色も目に入らぬ4月でしたが
今、新緑の5月の光の中で、そう思っています




退院

夫、昨日退院しました

22日間の入院生活でした
手術したわけでもないし、抗がん剤の影響を見るための入院だったので
おめでとう、と言えるようなものではないのだけれど一区切りです
夕食時には娘の音頭で乾杯しました

幸い、抗がん剤の副作用はほとんどなく元気です
入院中も運動のため9階の病室から1階まで階段で上がり降りするほどでした
食欲もあり、もちろんお酒もおいしそうに飲んでいます

今日から通院が始まります

治療効果を信じてこれからの長くなるであろう闘病生活乗り切りたいと思います

写真 2014-05-06 12 51 08
父ちゃん、がんばれ!

時は過ぎる 穏やかに

不安を残しながらも、日常のリズムが戻ってきました

夫は
今まで通りの早寝早起き
毎食後のウォーキングを欠かさず、血糖値管理も怠りません
田中やダルビッシュの勝利をうれしそうに語り
ビール片手のナイター観戦

いままで通りの光景です

変わったのはゴルフやカルチャー教室に行かなくなったことと
髪の毛が抜けてきたこと

そして、毎日放射線治療に通うこと

外出時には帽子と感染症予防のためのマスクが欠かせません

若者がかぶっているようなニット帽をいくつか買いました
今までキャップしかかぶったことがなかったので
最初は恥ずかしそうでしたが、意外と似合っています


宵っ張りの朝寝坊だった私は、告知の日以来すっかり早起き族に変身しました
習い事やボランティアなどみんな休止したので
一日がゆったり過ぎて行きます

24時間のほとんどを夫と一緒に過ごしながらケンカもしないねと娘が笑います
ずいぶんまじめにお料理もするようになりました

病名を知った時には、こんな穏やかな時が流れるとは思いませんでした
一日一日がとても大切に思えます

忘れ物したけど出てきた、それも2回!
何年か前に友達からもらった観葉植物に花が咲いた!
信号に少しも引っかからなかった!

そんな小さなことを吉兆につなげようとする毎日です

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(花が咲いたアンセリウム)

揺れ動く

夫の治療が始まってちょうどひと月
告知~入院~在宅治療と無我夢中で過ごしてきたように思います

少し落ち着いてくると
これでよかったのだろうか、という気持ちが頭をもたげてきます

セカンドオピニオンしなくてよかったのか
手術をしないという選択でよかったのか
放射線と抗がん剤だけの治療でいいんだろうか
他に何もしなくていいんだろうか

ネットを開くと
免疫療法だの、ガンに効く○○だのとあふれるほどの情報が入ってきます
抗がん剤はやめろと言う医師、いややった方がいいと言う医師

○○さんは陽子線という放射線治療で治ったんだって
××さんは温熱療法が効果を上げたって言ってた
自然治癒力を高めることが大事
耳にすることがみんな気になります

何もしないで後悔したくない
だからといって、片っ端から手を出すわけにもいかない

どうするのがいいのか
おそらくガンの治療をしているほとんどの人が通る道なんでしょう

冷静に治療に専念する夫をよそに
肝のすわっていない私は、揺れ動いてしまうのです

通院フルコース

昨日は
血液検査~放射線~診察~抗がん剤点滴とフルコースでした

きっと昔に比べればずいぶんスムーズになっているのでしょうが
あっちで待ち、こっちで待ち、全部終わるまで6時間ぐらいかかりました
私は付き添ってただけだけど、家に帰りついたら思わず「あーしんど」と声が出ました

入院中も抗がん剤点滴は受けていましたが通院で受けるのは初めて
担当看護師さんが、外来で化学療法を受ける場合の詳しい説明をしてくれます
何をするにもきちんと説明があり、同意書にサインが必要なのも昔とは違うところです

化学療法センターには、リクライニングのイスやベッドがざっと30ほども並び
それぞれカーテンで仕切られています

看護師さんによると
「今日はよく空いてるんですけど、日によってはいっぱいで1時間以上お待ちいただくこともあります」とのこと
抗ガン剤治療を受ける人、多いんだなあ

実際、少ないとはいえこの日も老若男女様々な人の姿が見受けられ
闘っているのは夫だけではないという感を強くしました

夫の点滴は2時間ほどですが、人によってはもっと長い場合もあるらしく
みなさん本や食べ物を用意されているようです
それぞれのイスにテレビも備え付けられていいます。ただし1時間100円
飲食は自由。家族の出入りもOK
ちょうどお昼時分になったので、夫のリクエストでコンビニおむすびとカフェのコーヒーを配達しました
これからは、お弁当持って行ってもいいかな

一ヶ月半ほど前までは、まったく縁のなかった放射線や抗がん剤が
日常の中にドンと居座りました
家族の中で当たり前のようにホウシャセン、コウガンザイという言葉が交わされ
通勤するかのように、毎日放射線に通い
カルチャー教室に行くがごとく、週1で抗がん剤を打つ

本当に現実なんだろうか
まだ夢を見ているような気がします

夢だったらいいのに






序の口

ガンの治療が始まってから、副作用らしい副作用はほとんどなく過ごしてきましたが
放射線が10回を過ぎたころから肌がヒリヒリする、と言うようになりました

治療の前にこういうこともありうると言われていたことですが、たしかに日焼けしたように赤くなっています
皮膚の薄いところが特にひどく、見ていても痛々しいです
冷たいタオルを当てていると少しマシなようで、たびたびやっています

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お父さんが横になると必ずそばに寝る、付き添い犬りく

先日は化学療法の影響か口内炎ができて、食べるのがつらそうでした
抗がん剤はガン細胞をやっつけてくれるけど、健康な細胞にも影響するのは周知の事実

放射線は、あと10回だけど
抗がん剤はまだ2クール目
こんなのはまだ序の口かも

ガンバレガンバレ、と応援するしかありません

発端

このたびの病気は、こんな風に始まりました

夫のおでこ、髪の毛の生え際あたりに、指でチョンとついた程度の青いしみのようなものが気になったのは
1月の終わりか2月の初めだったかと思うのです

おでこになんかついてるよ
昨日版画教室だったから絵の具がついたのかなあ
頭洗わなかったの?
などと笑いながら会話したのです

翌日になっても取れてないので、それ、汚れじゃないんじゃない?と言う私に
どこかで打ったかなあと、本人は気にもしません
打ったのなら痛いでしょ?と言うと、いやマッタク痛くないとの返事
そのくせ打ち身だと言い張ります
日々少し広がってるような気がするので、皮膚科で見てもらうように何度か言って
ようやく他の湿疹を見てもらうついでに診てもらったのは、一週間以上過ぎていたでしょうか
「やっぱり、どこかで打ったんじゃないですか、と言われたよ」とノンビリ帰ってきました

[でも打ち身なら痛いはずやし、広がってるんですけど・・・ってって言わなかったの?」と聞くと
しつこいなあ、男はそんなこと根掘り葉掘り聞かないんだ、と怒りだしたので
「私は納得がいかないから言ってるんやないの。心配されるのが迷惑なの!?」とケンカになる始末でした

もう心配なんかしてやらない!と怒ったものの
治まるどころか、次第に広がって行くおでこの青みがイヤでも目に入ります
青みの上部には赤いあざ様のものまで広がりだしました
それでも夫は、そのうち治ると思っているようでした

別の皮膚科に行くように再三促した結果
行けばいいんだろ行けば、と言わんばかりの態度で隣町の皮膚科に行ったのが3月24日
何も聞かずに帰ってきかねないので、私も一緒に行きましたが
今度の先生は、患部を見るなり「赤いところがちょっと気になりますね、大きいところで検査した方がいいでしょう」と
すぐに医療センターの予約を取り、紹介状を書いて下さいました

4日後医療センターに行き、組織を取ったよ、と帰って来ました
検査結果は11日後ということで、ずいぶん時間がかかるんんだなあと思いましたが
うるさく言う私を得心させるための検査だからと、何の心配もしていなかった夫と
ただの打ち身ではないと思うものの、そんなに怖いものではないだろうと考えていた私は、5月に予定していた旅行の話などしながらのんきに日々を過ごしていたのです

4月8日、衝撃の病名を聞くことになろうとは夢にも思わずに・・・・

最新病院事情

夫の入院は、17年前の1型糖尿病発症時以来初めてでした

今回入院した病院は3年前に新築移転したので、ゆったりしてどこもきれいです
複雑になりがちなフロアも、大きく表示されたアルファベットをたどればスムーズにたどりつけるようにできています
こういうのをユニバーサルデザインっていうのかな?

ロビーではピアノが自動で音楽を奏で
院内のあちこちにゆったりした休憩スペースが作られています

ホテルみたい・・・とまではいかないけれど
少なからず重い気持ちを抱えて来院する人にとって、随所に窓がある明るいフロアはホッとできそう
もっとも、ガンを告知されたその日はこの明るさも目に入らなかったけれど

昔の病院の売店と言えば地下の隅っこ辺りにあって、入院に必要な最低限の物くらいしか置いてなかったけど
今やコンビニが24時間営業だし
おしゃれなカフェは病室までデリバリーもしてくれるし
ボランティアの運営による図書館があり、貸し出しもオッケーと至れり尽くせり
夫の入院中は毎日図書館とカフェに通いました
気も紛れるし、退屈ですから

入院病棟はセキュリティカードがないと入れず
各フロアの入り口にはコンシェルジュが待機

ベッドサイドのテレビではBS放送も見られるので
夫は大リーグが見られると喜んでいました
テレビでは検査結果を見ることもできるし、夕食メニューを選択することもできて便利でした

しかし、いかに便利で快適でも
病院はあまり長居したくないところですね

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                夫は20年前に1型糖尿病発症。いろいろあったけどやっと落ち着いて過ごしだしたところに、思いもせぬ血管肉腫というガン宣告。
極めてまれなものということで一時は絶望的な思いに駆られましたが、週1回の抗がん剤点滴でがん細胞と折り合っているらしく、無事に4年目にはいりました。
ちっとも甘くない生活だけど、初孫(♀1歳)とひょんなご縁でうちの子になったチワワのりく(♂9才)に癒される毎日です

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1型糖尿病とは

    

ある日突然、何らかの原因で膵臓のβ細胞が破壊される自己免疫疾患。        発症原因も治療法も一般的な糖尿病とは異なります。 体内でインスリンを作れないので、毎日数回のインスリン自己注射をして血糖の上昇を防ぎます。           適切なインスリン注射により、仕事運動、旅行など健常の人となんら変わることのない生活を送ることもできるし、食事の制限もありません。     しかし、低血糖や高血糖に陥ることも多く、完治することはないので、このインシュリン注射は一日も休むことなく一生続けないといけないのです。

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